親心

留学を機に外国で暮らしていた娘が、一時帰国し駅まで迎えに行った。
娘、「私が家を出た15年前と全然変わらないわね」
娘が変わらないと言ったのは、私達が住む住宅街のこと。
娘、「昔、この辺にお店が無かった?」
主人と私、「???」
昨日食べた御飯さえ思い出せなくなっているため、15年も前のことは覚えてない。
娘、「隣近所も同じ人が住んでいるの?」
私、「そうよ。他所様の子供は、家を出ても、ちゃんと戻って来てるわよ」
娘、「それ、私に対する嫌味?」
一時帰国した娘は、私の嫌味を理解出来るほど大人になっていた。
家に着くと
娘、「15年前と全然変わってないわね」
私、「庭木は立派に育ったでしょ」
娘、「変わってないのは家のことよ」
家に入ってリビングから外を見る娘、「隣近所も昔のままね」
私、「そうかしら?」
娘、「そうよ。お隣さんの外壁、昔からうちと同じ茶色じゃない」
私、「うちもお隣さんも、外壁塗装をしてキレイになってるでしょ?」
娘、「キレイかどうかは分からないけど、昔と変わらないじゃない」
新しいことをしてみたいと日本を飛び出した娘だが、何も変わらない故郷に安心したのか、15年ぶりの母国でリラックスしてくれました。
娘の一時帰国が終り、再び海外へ行く日、家族揃って家をバックに記念に撮りました。
撮った写真をアルバムに入れると驚いた、なぜなら、記念に撮った写真が15年前に撮った写真と似ていたから。
私、「2つの写真とも、家の外壁がキレイだわね」
夫、「当たり前じゃない、15年ぶりに外壁塗装をしたのだから」
キレイな家から娘を送り出したい親心も15年前から同じですが、独身の娘にはまだ理解されてないようです。

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